9/23(日)に青谷町で「住民の声を聞く会」を開催しました。

 先月の佐治町に続き、9/23に青谷町でも「住民の声を聞く会」を開催しました。町民の方など12名が参加して、現在の青谷町が抱えている様々な問題点について意見交換を行いました。以下、当日出た意見をテーマ別にご紹介します。

 

(1)参加者から出た意見・要望

 ①「農林水産業」

・青谷町は山が多くて耕地が少ないため、農業は基幹産業にはなりえない。
・谷の奥の方の農地は雑草が茂って荒れ放題。
・集落全体として取り組むのではなく、特定の人だけが農業をやっている。その人が営農をやめると耕地の荒廃が一気に進む。

・夏泊付近の磯場の海藻が消えてしまい(磯焼け)、魚の数が大幅に減った。
・夏泊に定置網を設置して新規漁業者も増えているが、豊漁だと値が下がる。付加価値をつけて売りたいのだが、行政のサポートはゼロ。

・来年(?)開設予定の山陰道の気高道の駅で青谷の産物を売れるようにしてほしい。現時点では行政側からは具体的な情報が何も出てこない。
・青谷町内で地元産の野菜を売る場が欲しい。

 ②「産業育成・雇用・観光」

・青谷駅南側の工業団地では、閉鎖した企業もあるがおおむね順調で一部はフル操業中。気高町など町外からの通勤者も居る。
・昔から工業団地からの汚染排水が問題になっているが、今でも夜間に排出しているとのうわさがある。
・井出が浜にあるダイキン研修所は立派な施設で、エアコン世界一のメーカーだけのことはある。ただし、町内からの雇用は少数であり、清掃・調理などの範囲にとどまる。より雇用を増やしてほしいと訴えてきたが実現していない。

・現在の和紙製造業者は四軒くらい。今はかなり忙しいようだ。新規事業として照明用を開拓してきたが、成果はあまり出ていない。
・せっかくジオパークに認定されたのに、そのことを何にも生かしていない。海岸の掃除などは住民主導でやるべきだと思う。海岸できれいなのはダイキンの周辺だけで、他は未整備のまま。
・回船舟の船着き場の跡など過去の遺産がかなりある。これを観光に生かせないか。

 ③「生活・交通」

・谷の奥からバスで青谷駅に出るだけで片道500円弱かかる。さらにJRで鳥取駅まで行くのに片道500円近い。公共交通を使って鳥取駅まで往復するだけで2000円近い。これでは、免許を返納したら到底外出できない。(現時点の料金は、日の丸バス 青谷駅-小畑上:¥460、JR 鳥取駅-青谷駅:¥410)
(注:この会合に出席された鹿野町民の話では、鹿野町では200円バスが走っているとのこと。当初は通学用の朝夕だけの運行だったが、住民の申し入れで昼でも予約すれば運行するようになった。ただし、学校が休みになる土日は現在も運行していない。)

・移動販売車があれば助かる。(小畑ではJAが、鹿野町ではローソンが実施中とのこと)
・青谷駅前地区では空き家が30軒くらいあり、荒廃が進んでいる。中には瓦が落ちそうな家もあり危険である。行政の対策が必要だと思う。
・過去、広域農道をあちこちに作ったが、現在はツルが茂って荒れ放題、通行しずらい所も多い。どこが管理責任を受け持っているのか。せっかく作ったのだから整備して活用すべきだ。

 ④「防災」

・青谷駅前地区は海面からの標高が1mしかなく、大雨があるとすぐに浸水していた。二十年近くにわたって故鉄永県議を介して県に要望した結果、300Φ径のポンプ六台が設置され、ようやく浸水対策が可能になった。ポンプの運転は地元の自警団が担当しており、先日の七月豪雨でも自警団が夜通し運転にあたった。
(駅前地区は日置川と勝部川の合流点にあり、豪雨があるとすぐに水位が上昇する。県内では福部の塩見川、青谷駅前、東郷池の松崎が最も浸水しやすい地点と言われているそうである。)
・勝部川の西側にある西町地区の避難所は青谷総合支所に設定されているが、支所に避難するためには橋をいくつも越えなければならない。夜間に子供や高齢者をつれて増水した川を越えるのは非常に危険。避難先を地続きのダイキン研修所などに変更するべきではないか。
・日置川も勝部川も、川底が浅くなってきている。


・防災行政無線の放送がほとんど聞き取れない。各戸に個別に設置する工事の説明に来たが、費用は自己負担と言われたので断った。そのこともあって、放送を聞くたびに腹が立つ。
・小畑集落では、防災行政無線の各戸への設置は、希望者に対しては集落が費用負担して設置した。受信機の費用は一台4万円であり、行政が3万円、集落が1万円を負担。設置後の維持費の月108円は各戸が負担する。市内では青谷町から各戸設置が始まった。

 ⑤「街おこし等、総論」

・2004年の合併前の旧青谷町の人口は約八千人、現在は約五千九百人。14年間で人口の四分の一が消滅した。
・自分は、この地域のリーダーを作ることが絶対に必要と考え、成功している自治体の実例のビデオなどを集めて支所職員に見せたが、何の反応もない。県や市の議員に要望を出しても何もしてくれない。
・数年前に青谷町に帰ってきたが、町民自ら「ここには何もない」とあきらめている。自然環境など、良いところは探せばたくさんあるはずなのに。


(2)感想

 今年の五月にとりぎん文化会館で、「人口減少に負けない地域づくりを考えるフォーラム」が開催され傍聴してきました。各地の実践例を聞いて強く印象に残ったことは、「地域再生が成功するためには、再生への思い入れが強いリーダーの存在が絶対に不可欠」であるということでした。

 日南町では増原町長自らがリーダーとなって「日南町コンパクトビレッジ構想」を推進。林業、農業と福祉を基盤とした町づくりを進めており、現在約4400人の人口の中で、最近八年間に町外から移住してきた人の数は実に500人を超えるとのこと。

 鹿野町では、鳥取市と合併する以前の2000年に「いんしゅう鹿野まちづくり協議会」が発足。旧城下町の特徴を生かし居住区と観光地の融合を目指して、伝統を生かした街づくりを進めてきました。アート系の様々な催しを頻繁に開催することで若手芸術家を町に呼び寄せ、彼らには町内の空き家を借家として提供。空き家の持ち主と借り手の間を協議会が取り持つことで、互いに安心してスムーズに貸し借りができるようになったとのこと。その結果、今年春には、旧鹿野町域の人口が本当に久しぶりに増加に転じたそうです。この報告をされた「まちづくり協議会」の女性理事長の佐々木氏は実にパワフルな感じの方で、「この人の周りに皆が集まってきて、一緒に楽しみながら活動しているんだろうな」と思いました。

 ひるがえって青谷町の現状を見ると、合併前の時点では鹿野町に見るような活発に活動している町民の自主的組織は希薄であったようです。鳥取市との合併後は、地域の行政権は市役所に奪われてしまい、各総合支所では数万円の決済でも市役所に伺いを立てなければならないと聞きます。町長や町議会議員が地域のリーダーになるのが普通なのですが、そもそも町長も町議会も既に存在しないのですからどうしようもない。支所の職員も三年もすればどこかに異動してしまうのが現状なので、彼らに地域に対して責任を持つリーダー役を期待するのは元々無理なのでしょう。このような人事制度は改革すべきであると思います。

 青谷町外に住んでいる筆者がコメントするのは、観客席からグラウンドの試合を見ながら好き勝手に批評しているようで大変申し訳ないのですが、やはり地域の中の自治会等がお互いに話し合いをしながら、自主的な活動を通じて地域を良くしていくほかはない。その中で、バス料金の問題などのように、他地域に比べて悪条件のまま放置されている部分は、市に対して粘り強く改善を要求していくべきでしょう。青谷駅前地区に設置された排水ポンプなどの過去の成功事例が、今後の進め方の参考となるのではないでしょうか。

/以上 

2018年09月26日